惹かれる瞬間

なんてものはなくて、むしろ気付いた頃には目で追ってしまってた。

 

けど携帯番号を交換したのはまだまだ先の話。

シティプ図書館へ行く理由はあくまで受験勉強だ。お互い図書館やシティプ施設内の勉強ブースに居たとしても、普段は挨拶を交わす程度。

T高、N町どちらかがキッカケを作ってようやく談話が始まる、そんな距離の友好関係だった。

 

N町は田舎町。地元に高校はなく、皆別々の高校へ電車や原チャで通っていた。それでも地域愛が強いのか、放課後は多くのN町出身の学生がシティプに集まって勉強していた。(最寄り駅がそこにある、という点も拍車を掛けて)

そういう光景ひとつ見ても、やはりN町の子達は純粋で、自分のようにキャバ嬢に入れ込むような学生とは何かが違った。

サヤカとの生活

その日から俺はサヤカに夢中だった。

艶麗な年上のお姉さん、その人がいる世界に飛び込みたくて夢中だったのかも知れない。

サヤカと愛瀬を重ねる度、自分は同世代の誰よりも大人になった気分だった。

 

高3の春、教室内は受験ムードが漂い始めた。にも関わらず、鞄の中には教科書一つ入ってなかったんだ。実家に帰らない日も増え、学校に行く頻度も下がっていった。

サヤカとの出会い

N町ガールズと出会った頃、俺には曖昧な関係の女の子がいた。

名前はサヤカ、6歳年上のミナミで働くキャバ嬢だった。

当時17歳だった自分にとって、20代の人達は社会の中で生きてる別世界の人間だった。

 

進学校のT高は、部活を高2の冬で引退する制度になっていた。

引退後、真っ直ぐに張られていた弦が切れたように俺は自堕落な生活へ。

 

その日もいつものように学校が終わった後、友達5人とミナミでブラブラしていた。

と同時にスタビで遊べそうな子に手当たり次第にメッセージを送っていた。

返事が来た子達の中でも、東北から来たばかりだというサヤカのメッセージに目が止まった。

そのまま少しやり取りをしたのち、自分達がこれから飲みに行く店にサヤカも誘うことにした。

 

俺達が席について20分程してサヤカが合流した。

ドレスに羽織りもの、出勤前の格好だった。

サヤカから見れば年頃の背伸びした子供達、そんな風に映ってたんじゃないかな。

あゆみの彼氏

あゆみに彼氏がいる事を知ったのは、随分後のことだった。

ちょうど、自分はあゆみの事が好きなのかもしれない、と気付き始めた頃だったと思う。

おしとやかなあゆみの彼氏は、意外にも地元では一目置かれた不良のくっちゃんだった。

はじめは意外過ぎて、あゆみは実はそういう人達と同類(言葉は悪いが当時の率直な感想)なのか?と疑問を抱いたりもした。

二人がどういう間柄だったのか、そもそもの出会いはどういった形だったのか、未だに知らないでいる。当時から、相手への不躾な質問は控えていた。

そうしている間にも自分の中でのあゆみを想う気持ちは次第に膨れ上がっていった。

 

過去に付き合った子達とは、いわゆる遊びの関係。自分の世界が根本から揺さぶられるような恋はこれが初めてだった。

言葉を交わした日

キッカケは覚えてない。

けど、奥手な俺のことだ。きっとU達の会話の波に便乗したんだろう。

この出会いが、今後の俺の人生を劇的に突き動かすなんて微塵も思わなかった。

そりゃそうよ、友達が数人増えた、ただそれだけの事だったんだから。

男子校だった我がT高は他校の子達と知り合うことでしか女性と交流する術が無かった当時、ナンパもしたしスタビで遊んだりもしてた。

ただ印象的だったのは、そういう所で出会う子達と違ってN街の皆はとても純粋で、田舎育ちの素直な人達ばかりだった。

時間が忙しく進む都会の人達とは、纏っている空気感が全然違った。

キッカケ

ピュアな高校生だった俺は、「女子とのメールは質問系で終われ」だの「相手から話題を引き出せ」とかいうPOPEYEでよくコラムにされてそうな格言を常に頭の隅に常備させていた。

 

時々こうして過去の自分を振り返ってみると、やっぱり青くて。

 

その日も、いつものメンバーがテーブルを囲んでキャッキャと笑い合っていた。

 

シティプ

想い出


シティプラザ(シティプー) に併設された図書館での出逢いが全ての始まり。

受験勉強仲間のクラスメイト、うらぴーとふじぴょんがその子達と繋がった所からT高校フレンズとN町ガールズの短いお話は始まる。

パリピ気取りの奥手男子、はじめは挨拶程度だった。うらぴー達がN街ガールズ達と仲良く話してても、気にしない(フリして)受験勉強に励んでた。