結婚
数ヶ月前、あゆみが結婚した事を知ったのもタキからのLINEだった。
俺は22歳で結婚して、今年で10歳になる息子もいる。順風満帆とは言わないまでも、なんとかここまで生きてきて、それなりに人生を謳歌してきた。
けどやっぱり、俺にとってのあゆみの存在は、18から19歳の青春ど真ん中時代のコアに位置する部分なんだ。感謝してもしきれない。
あの時間があったから、今の俺がいるわけで。
34年の人生の中で一番“愛に生きた”期間だった。
そんな人の結婚NEWS、何も思わないはずがない。
フラれた側の心はそこで立ち止まったまま、動けないでいるんだ。
相手の幸せを願うなんて綺麗事だけでは片付けられなくて。自分じゃない誰かと幸せな時間を過ごす事にフツフツと怒りに似た憤りさえ覚える。なんて自分勝手な生き物だろうかとつくづく思う。あゆみにとっての今の俺は只の過去の1人だというのに何様かと。
過去は過去のままで、引き出しの奥にそっとしまっておけばいいのに。時々ふり返って、その想い出たちを優しく包み込めるような人間だったらどれ程満ちていたことだろう。
自分の現状に満足してたとしても、この想いは変わらないだろうな。過去をどう見るかは自分次第なのだから。